真っ黒な外壁に、庭の木々が鮮やかにうつる―
国道13号線沿いに建つウンノハウスのこの本社は、2018年年末に完成しました。
一見して社屋とは思われない、独特の存在感を放つこの社屋がどのような経緯でつくられたのか。
当時、新社屋の建替えプロジェクトを託されていたプロジェクトリーダー、弊社取締役兼商品開発部部長の山口に話を聞きました。
尚、このインタビュー内容は2回に分けて掲載します。
1回目は新社屋ができるまでの過程や、込められた想いについて、2回目は特に建築を学んでいる学生さんに贈る、新社屋の構造的面白さについてです。
どちらもぜひご覧ください。
―きっかけは60周年 木造へのこだわり
「本社の建替えの話が出たのは、会社の創業60周年がきっかけです。
もともと3階建ての1000㎡ほどの社屋だったのですが、社員が増えて窮屈さが顕著になっていて、その解消も目的としてはありましたね。
当初はいろいろな案が出ましたよ。4階建ての鉄骨造のビルにしようか、とか、営業部とお客様用ショールームだけ別棟で新しく建てようか、とか。
でも、木造住宅を提供している当社としては、木造にこだわりたいという想いが、皆に共通してありました。
そして、社員のモチベーションが上がる社屋にしたい。
”木造で、こんなすごい建物ができるんですよ!”っていろんな方に見て頂きたい。
だから、お金がかかっても、木造で社屋の全面建て替えをしよう、と早い段階で話がまとまりました。
でも、実際木造での大規模建築となると課題がたくさんあって、なかなか先に進まずにいました。
一気に現実味を帯びたのは、当時外部講師として設計研修に来て頂いていた、一級建築士の彦根先生にご相談したときでした。
彦根先生が後日図面をお持ちくださったんですけど、役員一同、度肝を抜かれましたね(笑)。
90m近い、横長の2階建ての社屋。私も役員も、誰も想像していなかった形。
面白い、と思いました。
これが、今の社屋の原型となりました。
法的な規制など様々ありますので、それをどうクリアしていくかという問題はありましたが、結果的には、法的な規制にも適応し、なおかつ木造で、モダンで、庭を楽しむことのできる、ほかに類を見ない社屋が出来上がったと思います」
(社屋の自慢の庭。まるで以前からそこにあったかのように風景になじんでいる)
―新社屋に込める想い 社員が自慢できる社屋を
「私たちが社屋を新しくするうえで、最も重視したのは”社員がいきいきと働ける環境をつくる”ということです。
もちろん、お客様や協力業者の皆様も大切ですが、日々働く場となる社屋は、やはり社員のために作っていきたいという想いがありました。
社員一人一人が、家族にも友人にもお客様にも自慢できるような、そんな社屋を目指す。
これから入ってくる”未来の社員”にとっても、ここで働きたい!と思うような社屋になれば最高だな、と思っていました。」
「また、譲れないコンセプトとして”環境共生”があります。ウンノハウスらしさ、を考えた時に欠かすことのできないキーワードだと思います。
当社には、自然を大切にしようという考えが根本にあります。木造住宅を手掛ける会社として、それは当然に生まれたもののように思います。
飯豊町での植林活動や、お客様への完成時の樹木プレゼントなど、これまでも自然を保全し増やしていく事業を行ってきました。
だから、新社屋の話が出た時も、一番に思い描いたのは、庭のある社屋。
商業施設の立ち並ぶ国道沿いにあって、通る方々の癒しになるような緑多い社屋にすること。これは当初からの希望でした。
この社屋のメインは実は建物じゃなくて庭なんですよ。だから、社屋は真っ黒な外観。木々の緑や紅葉を映えさせるためのデザインなんです。」
(建築中の写真。左側に映るのが旧社屋。新社屋に太陽光発電が載っているのがわかる)
―地元山形に根差す 地域にとっての一時避難所
「あともう一つ欠かせないのが、地元山形への思いです。
できるだけ山形のものを使いたいという想いがあったので、建物東側一面に山形の杉材を貼っています。また、オリエンタルカーペットさんや天童木工さんなど、社内の家具にもこだわっています。
地元に根差す、という意味では、地域住民の方にとっても身近な場所でありたいという想いもありました。
そこで、災害時の一時避難所として使っていただけるように、大容量の太陽光発電システムと蓄電池を設置しています。
実はこれ、日本初のシステムなんです。
通常だと、太陽光発電システムを搭載していても、災害時に使えるのはコンセントくらい。でも、当社の場合は普段イベントで使っているホールのエアコンや照明などの電気機器がすべて使えます。だから、もし停電になったとしても、ここだけはほとんど不自由がない。
近隣住民の方向けの説明会でもお話をしていて、もちろんそんな使い方せずに済むのが一番ですけど、もしものときは地域の備えとして頼っていただければと思います。
ちなみに、普段は太陽光発電システムでつくった電気を蓄電池にためて、敷地内の外灯の電気を賄っています。
非常時の備えだけでなく、自然共生にも一役買っています。」
―社屋完成 社員の働く姿と増える新しい仲間
「2018年年末に完成し、新社屋で働き始めてしばらく経ちますが、正直思惑通りいったんじゃないかな、と思っています。
前よりもずっと広くて明るい社屋になって、社員の働きやすさが向上したのは間違いない。また、自信をもってお客様をご案内している社員の姿や表情を見ると、前よりも生き生きしていると感じています。新入社員から「この社屋で働きたい」なんて声が聞こえてくると、内心にやり。
実をいうと、新社屋になって以降、想像していた以上に社員が増えているという実態もあります。それだけ、この社屋が当社の魅力のひとつになっているのではないかなと自負しています。」
―未完成の社屋 未来を見据えて進化し続ける
「一方で、人数が増えているということは、それに合わせて事務所の中のレイアウトも変える必要があります。
だから、実は完成しているようで完成ではない、社屋というのは会社の成長に合わせて成長していくものなんですよね。
まだまだ社屋についての構想はいろいろあります。
例えば、事務所をもっと広くする案であったりとか、住宅にまつわる実験棟を建てたらどうかとか、社員のくつろげるスペースをつくったらどうかとか。外での仕事も多いのでシャワーブースがあってもいいかもしれない。そんな風に、どうしたらもっと社員が働きやすく、生き生きと過ごせるのかを今もまだ追及してます。
これまでは、”売り上げを増やすこと=会社の成長”と言われる時代が長かった。
でも、これからはきっと違うと思っています。地域のために、お客様のために仕事をする中で、社員自身が働きがいを増していく、そしてそれがまた次の事業へとつながっていく。そんな循環が会社の成長を生むように、もう変わってきていると思います。
経営陣の目下の話題は、”社員が一生涯働ける会社とは”です。
男性も女性も、ベテランも若手も。みんなが自分のキャリアを築けて、成長し続けることができる環境をつくっていきたいと思っています。
実は、当社の外壁に使っている杉材は、これから徐々に色が抜けて黒から濃いグレーへと変色していきます。全部の外壁の色が変わるまで、おそらく15年~20年。そうして時間をかけて、より深みのある社屋へと進化していきます。
社屋も、会社も、時間を経ることでより理想形になっていく。そのためにも、まだまだこれからも考え続け、変わり続けていきたいと思っています」
●山口浩一郎 ―取締役 兼 商品開発部部長
1988年入社。入社以来、自社のオリジナル工法開発や工場の生産性向上体制の構築などに尽力。
●彦根明 -株式会社彦根建築設計事務所
1994年日本建築士会連合会賞グッドデザイン賞、2008年・2010年・2011年日本建築家協会優秀建築選など、数々の受賞歴を誇る。
弊社では、2017年から設計社員向けの外部講師として1年以上にわたり指導を頂いており、その中で新社屋建替えプロジェクトの意匠設計を依頼する運びとなった。
→後半のインタビュー記事「プロジェクトリーダーに聞く、新社屋の3つの架構と建築的面白さ」(建築学生向け)へ
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キャリア
アドバイザー
須貝
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